通勤途中の駅前で
ミラーレス一眼を首から下げて
流れる雑踏を撮る若い女性を見かけた。
なんかちょっとカッコ良かった。
スマホの時代
写真が趣味と言う人は
一体どれぐらいいるんだろうね。
大学に入ってすぐにバイトを探した。
まだネットもスマホもない時代だったから
アルバイトニュースっていう
駅の売店とかで売ってた雑誌で
求人情報を探した。
ある企業が英文タイピスト(今は死語?笑)をバイトで募集してた。
自分はタイプライター打てたし、タイピングもそこそこ早かったから、これはいけるんじゃないかなと思ってね。
履歴書持参して行ったんだけどさ………
なんてこと
女性のみの募集だったのね、これが。
意気消沈して帰りかけたところ
面接官の中の一人の女性が
「君、ちょっと待って」
「履歴書に、趣味写真って書いてあるけど」
「ちょっと、話をしたいんだけど」
これが、運命の一言だった。
その後何回か面接を重ねて、自分はその企業に採用されることになった。
タイピストとはまったく違う内容の仕事でね。
配属された先が系列のグループ会社で
六本木にある音楽芸能プロダクションだった。
そしてバイトの内容は、ファンクラブ会報の写真を撮ること。
驚いたよ。
自分が撮った写真が印刷物になる?
しかも被写体は所属アーティスト(タレント)だというのだから、正直ビビりまくった。
趣味だった写真がなぜかバイトになった。
自分の生活の中でカメラとの距離が一気に縮まった。
写真が一生モンの趣味となった瞬間だった。
19歳だった。