長い間ずっと辛いものが苦手だった。
辛いものを平気で食べている人が信じられなかった。
こんな思い出がある。
子供の頃、父の仕事の関係でタイ人のお客さんが家に遊びに来たことがあった。
冬の寒い日だったと思う。
当時住んでいた家は掘りごたつのある古い木造の日本家屋。
木枠の板硝子の窓と障子だけの和室には、冷たい隙間風がヒュ〜♪っと入って来る。
南国タイから来た人にはさぞかし寒かっただろうと思うよ。
初めて見る掘りごたつを不思議そうな顔をして覗き込んでいた。
食事は、白いご飯とお味噌汁、煮物とお魚とお漬物といった純和食でお出しした。
”外国からのお客様に、一般的な日本の食卓を体験してもらいたい”
そう母が考えたのだと思う。
こたつをみんなで囲みながら、にぎやかな食事を楽しんでいた。
その時に事件が起こったんだ。
それは、きゅうりのぬか漬けを食べていた時だった。
タイのお客さんが、きゅうりの両面が真っ赤になるくらいに七味唐辛子をなすり付けて
”パクリ” とひとくちで食べたんだよ。
そして首をたてに降って、「うんうん」って美味しそうに笑っている。
それを見た自分は呆気にとられて、箸が止まったまま固まってしまった。
「なんだ?この人は!」
ってね。
あとになってタイの人は辛い料理が好きだって事を知ったんだけどね。
辛いものがダメだった自分からしたら
そのとき目の前で起こっている出来事が信じられなかったんだ。
自分の "辛いもの嫌い" は、歳を重ねるにつれて度を増していった。
そしてついにはテレビでキムチを食べるシーンを見ただけでも
顔からドバっと汗が吹き出すほどになっていた。
辛いものを見るだけで条件反射的に体が反応してしまう。
仲間と中華料理店に行った時も
食べもしない麻婆豆腐を目の前にしただけで
流れる汗をタオルで拭いている自分を見て
「ねぇ、ちょっと過敏症なんじゃないの?」って
みんなからあきれ顔で心配される始末。
これってさ、もしかして自分は特異体質なのか?
そう思ったよ。
ところがその体質が突然変わったんだ。
体の中の味覚変動?
数年前に少々ややこしい病気になって入院したんだけど
その長期の入院生活から解放されてシャバに出たとたん
辛いものへの苦手意識が見事に消滅していたんだ。
病気から回復するまでの入院中に
自分の体に何が起こったのかはわからない。
服用した薬のせいなのか?それとも長く続いた入院食のせいなのか?
でもとにかく退院してからは、辛い物が苦手だった体質は激変した。
キムチを見ても汗をかかなくなっている。
食べても大丈夫。むしろ好き。
辛いものたくさん食べたい!もっと食べたい!
まるで別人だꉂ🤣𐤔
今日なんてさ、激辛のタイカレーをペロリと食べたよ。
そうだよ。タイのカレーだよ。
あの七味唐辛子できゅうりを食べた
あの人の国のすごく辛いカレーだよ。
これはいつも楽しく読ませていだだいている
ot_nail さんのブログで紹介されていたのを見て、お目目がロックオンꙬ!!
早速近くの成城石井に走ってゲットした。
これは多分、自分のレトルトカレー史上最も激辛なヤツだ。
激辛すぎるにもほどがあるってレベルだけどさ。
辛さに開眼してしまった今の自分にとっては、もはや "ツボ" 以外の何物でもないよ。
ドツボにハマったってやつだね。
また食べたい😍